イ・ジヌク

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2025.09.11

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「エスクワイア: 弁護士を夢見る弁護士たち」イ・ジヌク インタビュー


俳優イ・ジヌクが、JTBC「エスクワイア: 弁護士を夢見る弁護士たち」で、デビュー23年目にして初めて弁護士役に挑戦した。

2002年、チョン・ジェヒョンの『If it's a love like me』のミュージックビデオでデビューした彼は、23年間で29本のドラマと10本の映画に出演し、さまざまなキャラクターを演じてきた。その結果、“自分の性格がわからなくなるほど”極端に異なる性格を表現してきたと自認するほどだ。警察官、神父、殺し屋、アナウンサーなど、彼が演じていない職業はほとんどないと言ってもいい。

そんなイ・ジヌクにも、縁がなかったジャンルがあった。それが“法廷ドラマ”だ。これまで一度も立ったことのなかった法廷を、9月7日に最終回を迎えた「エスクワイア: 弁護士を夢見る弁護士たち」(以下「エスクワイア」)で、思う存分駆け回った。劇中では冷徹な性格で、ユルリム法律事務所の訴訟チーム長として、すべての案件を完璧に処理するユン・ソクフン弁護士を演じ、9%台(Nielsen Korea)という高視聴率を記録した。

イ・ジヌクは最近、ソウル・江南区にあるBH Entertainmentの社屋で行われた最終回記念インタビューで、「皆さん“弁護士役は初めてなんだね”と驚かれますが、意外と自分に合っていたんですよ。満足度は120%です」と笑いながら語り、「「エスクワイア」は本当に魅力の多いドラマでした。シーズン2が実現することを心から願っています」と話した。
 


Q. 「エスクワイア」を終えての感想は?

最近は事前制作が多いから、撮影自体は2か月くらい前に終わってたんです。だから、撮影が終わったらすぐ放送も終わってた以前とは、ちょっと感覚が違いましたね。もうキャリアもそれなりに長くなったけど、やっぱり撮影が終わると毎回名残惜しいです。俳優って1年に何本もできるわけじゃなくて、出演のチャンス自体が限られてるじゃないですか。前から作品は大事に思ってきたけど、年々もっと一つひとつへの思い入れが強くなってます。今回も“無事に終われてよかったな”って思いました。前は“すっきりした寂しさ”だったんですけど、今は“寂しさのほうが大きい”って感じですね。

Q. 「エスクワイア」に出演を決めた理由は?

最初に台本をもらったとき、人気が出るかどうかは分かりませんでしたが、“いい評価はもらえそうだな”っていう予感はありました。撮影中に一番悩んだのは“視聴者が難しく感じないかな?”ってところ。法廷ドラマってどうしても固くて退屈になりがちだから。けどフィクションをうまく混ぜてあって、すごく面白くできてました。韓国の裁判制度とはちょっと違うところもあるけど、ドラマチックな要素をいい感じに融合させて。放送を見ても“うわー!”って派手なシーンはないんですけど、時間を忘れて最後まで集中できるんですよ。だから“このドラマ、いけるな”って手応えがありました。実際、視聴者の反応もまさにそうで。最近のドラマって刺激的で派手な演出が多いじゃないですか。僕もそういう作品に出ることが多かったんですけど、こんなシンプルな作品をやったのは久しぶりでした。強烈な悪役とかは出てこないのに、最後までちゃんと集中して観てもらえる。周りの人たちに聞いても同じ反応でした。視聴率もありがたいことに良くて。(最高視聴率9.1%を見て)“やったー!”って思いましたね。実は最初はそこまで注目されてなかったんですけど、2話目から数字がぐんと上がって、チームみんな大喜びでした。

Q. 「エスクワイア」の最大の魅力は?

他の法廷ドラマはあえて見ないようにしました。差別化を狙うっていうより、僕らの強みをしっかり活かそうとしたんです。制作スタッフや共演者ともそう話してました。ドラマの切り口が新鮮だったんですよね。自分じゃ気づけなかった視点がいっぱい盛り込まれてましたし。善と悪の線引きがあいまいな依頼人が出てきたり、加害者と被害者の立場の違いを考えさせられる事件があったり。誰でも訴訟に巻き込まれることってあるかもしれないじゃないですか。このドラマを観たら、ちょっと心構えが変わるんじゃないかな。撮影中も“これ、結構グレーじゃない?”みたいな会話がしょっちゅう出てました。代表的なのが、不妊治療クリニックの冷凍精子損傷事件ですね。
 


Q. 劇中のユン・ソクフン弁護士と自身のシンクロ率は?

僕もこの役みたいに冷静な部分はあると思います。誰かが相談に来れば、解決策を提案したくなるタイプです。いわゆる“極T”ですね。20年以上やってきましたが、休まず働くタイプで、他の俳優みたいに完全に没入するタイプではないんです。それでもキャラクターに入り込む部分は確かにあります。ただ、作品を続けていると、イ・ジヌクとして生きる時間がほとんどなくて、ちょっと混乱することもあります。「自分はどうだったっけ?」「自分は誰だっけ?」みたいな瞬間が訪れるんです。たまに友達から「口調どうしたの?」とか言われますね。最近は「なんでこんなに論理的なの?」って言われることも多いです(笑)20年間で40作品くらいやってきましたけど、自分の性格が少しわからなくなることもあります。

Q. 弁護士役は合っていた?

意外と自分に合っていましたね。適性検査でも弁護士って出ていたんです。僕は賢くないので実際には弁護士にはなれませんが、俳優として演技で試せるので、しっかり挑戦しました。「弁護士役は初めて?」とよく聞かれるんですが、今回が初めてです。難しいセリフが多いこと以外は、特に大変なことはなかったですね。考え方も自分に合っていたのでスムーズに演じられました。満足度は120%です。

Q. 新人弁護士カン・ヒョミン役のチョン・チェヨンさんにはどう接した?

後輩が助けを求めてきたら、いくつかの選択肢を用意していました。僕も先輩方ほどではないけど、自分なりに考えながら役者をやってきたので。でも、役者って本来、他人の助けが絶対必要な仕事ではないんです。ただ、安心感を与える手助けは大事なので、それを意識しました。チェヨンさんにもそう接するようにしました。初めて現場で会うと緊張するのは当然ですから、僕はあえてバカっぽい姿を見せるようにしました。いわゆる“はしゃぐ姿”を見せるんです。壁を壊すのに確実に役立ちます。実際はそこまでバカじゃないんですけどね(笑)例えば、チェヨンさんは血糖値が下がるとスタッフや共演者にグミを配るんですが、僕はわざとオーバーに「僕も!僕も!」と言ってもらったりしました。実はそんなにグミは好きじゃないけど。人によっては「おばさんみたい」って言う人もいますね。昔はそういうことは全然しなかったんです。先輩が多かった頃は話すのも難しくて、ただ返事するだけでした。その頃を知る人には、今の僕の姿は本当に新鮮に見えると思います。

Q. 劇中の先輩・後輩弁護士の関係から“良い先輩”像も描かれていますね。では、“良い先輩”とは?

キャリアを重ねると、若い頃は絶対に考えもしなかったことが見えてくるんです。その一つが“待ってあげること”。経験がある人は、新人のために待つことが大事です。正直、僕はそれが苦手で、特に家族みたいに近い人にはなおさらです。でも、それさえできれば十分良い先輩になれると思います。待ってあげる心。寛大な目で見る必要はない。ただ待つ。信じているかどうかに関わらず、「きっと良くなるだろう」という気持ちでいることですね。今みたいに情報が溢れる時代は、助言はもはや必要ありません。むしろ「しっかりしろ!」と頭を叩いてあげるほうがましです。基本は、待ってあげられること。僕も努力してます。

Q. 劇中のカン・ヒョミンとの関係は恋愛か、先輩・後輩としての信頼関係か?視聴者の間でも意見が分かれています。

悲しい話ですが、二人の年齢差がありますよね。恋愛当事者同士で年齢差を気にしなければいいですが、放送では個人的に違和感を覚える人もいると思いました。だから方向性を修正した部分もあります。それは僕を含めた全員の意見でした。このドラマの目的は事件のケースをきちんと表現することであって、恋愛を描くことではないと思いました。とはいえ、恋愛要素を完全に抜くと味気なくなる。だから男女の恋愛ではなく、先輩・後輩として十分に好意を持てる関係として描きました。視聴者が納得できる範囲までですね。
 


Q. 法廷ドラマを選んだのは演技の変身のため?興行面のプレッシャーは?

演技でガラッと変身する人には敵いません。それって天性の才能です。その才能を持っていても、世間に認めてもらうのは簡単じゃないと思うんです。僕はこれまでキャラクターを大きく変えるようなことはしてこなかったですね。不自然に見えちゃうから。だから自分と共通点のあるキャラクターを演じてきました。演技の変身って本当にできるのかな、って思うくらい、僕にとっては超えられない山みたいなものです。正直、僕の作品に合わない役も多かったですね。でも最近は、いい意味で“怖さ”を感じるようになりました。プレッシャーっていうより、「もし上手くできなかったらどうしよう?」って気持ちが出てきたんです。下手だったら辞めなきゃいけないかもって。今はもう、下手な演技は許されないなって思うんですよ。若い頃は、ちょっと下手でも学びながら成長できると思ってましたけど、今はそういうプレッシャーが生まれるんです。それが僕がここまで生き残れた原動力になったのかもしれませんね。

Q. 自分のキャラクターが完全に出ることは避ける?

僕個人のイ・ジヌクが前に出るのは望んでいません。作品を見たときに、僕について何も考えてもらわなくていいんです。信頼されるまでじゃなくても、僕が出てる作品を見て「あいつの作品はつまらない」ってだけ言われなければ十分。俳優イ・ジヌクが作品に強く出るのは、僕にとってマイナスだと思っています。でも、はっきりしているのは、今回のドラマのあと、法廷ドラマのオファーはたくさん来るだろうってこと。OCNドラマ「ボイス」以降、もらう役は全部刑事だったので、今度は弁護士役が来る番です。メロドラマも自信ありますけどね(笑)

Q. 「エスクワイア」シーズン2はある?

シーズン2はぜひやりたいです。いろんな利害関係があるのでまだ確定ではないですが、前向きに検討中って話も聞いています。

Q. 今後の出演予定は?

映画『失恋した人たちのための7時の朝食会(原題)』の公開を楽しみにしています。第30回釜山国際映画祭のコンペティション部門にも招待されました。スジさん、ユ・ジテさん、クム・セロクさんの演技が本当に素晴らしくて、自信があります。僕の出来ですか?もちろん、良かったですよ(笑)
 


さらに、共演したチョン・チェヨンはインタビューで、「イ・ジヌク先輩は純粋で少年のような魅力のある方です」と振り返り、感謝の気持ちを語った。

先にインタビューを受けたイ・ジヌクは、「グミはあまり好きじゃなかったけど、チェヨンさんがいつも現場で周りにグミを配るのを見て仲良くなりたくて、『僕も!僕も!』と言ってグミを受け取った」と語っていた。これを聞いたチョン・チェヨンは、「それを今日になって初めて知りました。今日まで先輩がグミを嫌いだとは思っていませんでした。好きだと思っていたので、いつもたくさん持って行っていたのに、残念です」と笑った。

続けて、「先輩は『後輩にバカみたいに接した』と表現されましたが、実際には先輩は純粋で少年のような魅力があります。本当に純粋でない人がやったらすぐにわかりますよね。先輩だけが持つ人間的で子どものような面があって、それが表れていたと思います」と話し、「先輩がそうやって努力してくださったおかげで、後輩としても近づきやすく、現場で安心して演技の呼吸を合わせることができました。本当に感謝しています」と語った。

また、劇中で先輩弁護士イ・ジヌクに対する気持ちが恋愛感情なのか、尊敬なのかについて聞かれると、「視聴者にも一緒に考えてほしいと思いながら撮影した部分です」と答えた。

チョン・チェヨンは、「イ・ジヌク先輩と多くのシーンを撮影する中で、私も劇中のカン・ヒョミンがユン・ソクフンを見たときに、本当に先輩として尊敬しているのか、それとも男性として好意を持っているのか疑問に思うことがありました」と語り、「実際、その感情はほんのわずかな差だと思います。私も複雑だと考えています。ある瞬間は男性として、ある瞬間は先輩として…その差がどこに出るかによって変わるのだと思います」と説明した。

俳優として自分が演じたカン・ヒョミンの感情がどうあってほしいか聞かれると、「個人的な希望ですが、先輩は先輩のままでいてほしいです。ファンはファンのままでいるのが良いと言われるように、素敵な先輩は先輩のままでいれば、一生良い点を学べると思います」と笑顔で語った。

画像提供:BH Entertainment
出処:https://news.jtbc.co.kr/article/NB12262044?influxDiv=JTBC
   https://news.jtbc.co.kr/article/NB12262045?influxDiv=JTBC