2025.09.10
MEDIA
― ラルフ ローレンのスタイルがとてもお似合いですね。ご自身でもそう感じますか?
自分でもほぼ人間ラルフ ローレンだと思ってます(笑)子どものころから本当に大好きで、高校生の頃からだから、もう30年近くですね。
― どうしてそんなに長く愛用しているんですか?
流行りものよりも、クラシックな雰囲気が好きなんです。いつでも気軽に着られる“ベーシックな魅力”があるからこそ、ずっと惹かれますね。個人的にも自分によく似合うと思っています。
― スタイルにぴったり合う服を着ると、気分も変わりますか?
もちろん変わります。男性ってスーツを着ると自然と気持ちが引き締まるじゃないですか。似合う服を着ると気分が良くなって、気分が良いと仕事もうまくいくんですよ(笑)服好きな人ならみんな共感できると思います。だからラルフ ローレンを着ている今日も、すごく気分がいいんです。実際、ラルフ ローレンを着ている日は「今日の服、すごく素敵ですね」って褒められることが多いんですよ。
― クラシック以外で、自分に似合うと思うスタイルはありますか?
どんなスタイルでも似合う方だと思います。これは自分の強みのひとつですね。本当に、いろんなスタイルを着こなせるので、どんなファッションにも挑戦できると思っています。
― すごい自信ですね。
実際そうなんですよ(笑)もちろん、中には少し違和感がある時もあります。自分の好みと合わないこともありますからね。でも周りから見ると「似合ってるよ」って言ってもらえるので、結果的にはうまく着こなせているんだと思います。だから服を着るのが好きなんです。基本的にはクラシックが好きですが、幅広いスタイルを楽しんでます。
― 人前に立つお仕事ですし、素晴らしい才能ですね。
でも、必ずしも良いことばかりでもないんですよ。
― ああ、一つの強烈なイメージがない、ということですか?
そういうふうにも言えるかもしれませんね。どんなことにも長所と短所があると思うんです。
― でも、役選びにおいては“どんなスタイルでも似合う”というのは大きな強みですよね。
ただ、実際には俳優が自分の好きな作品を自由に選べるケースって、実はそんなに多くないんです。だから、役を選ぶときに自分の好みを優先するっていうのは、ちょっと現実的じゃないんですよね。本当に“今この俳優と絶対に仕事したい!”って熱望されて、どんなジャンルのシナリオも送られてくるような場合は別ですが。ほとんどの場合、オファーはある程度偏っています。その中からどの作品、どの役を選ぶか、という話なんです。
― 結局、選ばれる側の宿命ですね。
もちろんです。入社する時に、会社を自分の好みに合わせて選べないのと同じです(笑)
― どんな役が多くオファーされますか?
一時期はタフな役や刑事もののオファーが多かったですね。あとは、ロマンスやメロドラマが得意分野です。最近はメロとまではいかなくても、ドラマチックでささやかな魅力のある作品からのオファーが増えています。
― 似たようなカテゴリーの役でも、差別化するために意識していることはありますか?
なるべく続けて同じジャンルの作品はやらないようにしています。しばらく刑事や激しいストーリーの役をやっていたら、正直ちょっと飽きちゃうんですよね。精神的にもハードなので、自然と違う作品がやりたくなるんです。逆に、穏やかな作品をやっていると、また刺激的なストーリーに挑戦したくなったりもします。そうやって変化をつけています。
“快感は、いい評価を受けたときにしか得られません。
実は、自分の演技に満足している俳優なんて、一人もいないと思います。”
― 今回のドラマ「エスクワイア: 弁護士を夢見る弁護士たち」は、まさに穏やかな作品という条件にぴったりですね。
本当に最高です。弁護士役は初めてですし。それに、何といっても死にませんから(笑)死ぬ役じゃないから大変じゃなかったです。物語の中でだんだん幸せになっていくキャラクターなので、よかったです。観てくれる人たちにも、幸せをお届けできる役だと思います。
― 第1話の放送はご覧になりましたか?
事前に見ていたので、放送日は観ませんでした。リアルタイムで本放送を見るタイプじゃないんですよね。
― 完成版を見たとき、現場での感覚と違いはありましたか?
現場で演じているときって、音楽もなく、編集も最終段階ではないので、実際どうなるかはよくわからないんです。だから監督を信じて進むしかありません。それで完成版を見ると、やっぱり感じ方が全然違いますね。音楽も入って、編集も変わるので、完成版のほうがずっといいんです。
― ドラマでは冷静で有能な弁護士を演じています。ご自身の性格と役柄は近いですか?
すごく近いですね。僕自身も、わりとそういうタイプです。
― 冷たい印象はなかったですが?
この役は、冷たい人ではないんです。ただ、決断が早くて効率的なだけ。合理的に物事を進めるから、冷たそうに見えるかもしれませんが、実際は人間味のある温かい人物なんですよ。
― 役柄との距離が近いと、演じるのも楽しいですか?
今回の役は、特に苦労することなく演じられました。キャラクターの行動や感情を理解しやすかったので、スムーズに役に入れました。
― 自分と近い役を演じるときの安定感と、自分と遠い役を演じ切ったときの快感。どちらが好きですか?
快感は、いい評価を受けたときにしか得られません。正直、自分の演技に満足している俳優って、僕は一人も見たことがありません。大ベテランの先輩方でさえ、自分の演技に完全に満足している人はいません。だからこそ、作品への評価が良いと、本当に嬉しくなりますね。
― 今回の役で、特に意識してこだわった部分はありますか?
キャラクターの感情に寄り添うのが難しくなかったし、人物像も明確で、台本も理解しやすかったので、演じるうえで大きな難しさはありませんでした。ただ、弁護士役なので専門用語が多くて、セリフを言うのが大変でした。僕はもともと暗記は得意な方なんですが、今回はさすがに覚える量が多すぎて…。僕だけじゃなく、共演している俳優陣もみんな苦労していました。
― 最近は共演者が後輩であることも多いと思います。以前と比べて、態度や心構えに変化はありましたか?
これまで先輩方にたくさん助けられてきたんだな、と改めて気づきました。新人のときは、やっぱり先輩よりうまくやるのは難しいですよね。しかも演技の上手い・下手だけでなく、現場のシステムに沿って完成させる必要があるので、慣れていない技術的な部分では僕が合わせてあげるべきだな、と意識するようになりました。でも、今一緒に撮影している後輩たちは本当に上手で、むしろ僕のほうが緊張しました(笑)
― 先輩としてお手本を見せよう、という意識はありますか?
演技をする上で、先輩・後輩という関係はそれほど重要ではありません。ただの一対一の関係です。俳優は師弟関係や見習い制度で学ぶわけではありませんから。ただ、手本というよりは、先輩からインスピレーションを受けることはありますね。
― でも先輩として現場を引っ張る役割を期待されることもあるのでは?
僕はそういうタイプじゃないんですよ(笑)それに、最近の若い俳優たちは本当に演技が上手いです。マインドも違いますしね。僕らの時代って、どこか先輩の顔色をうかがう空気があったんですけど、今はそういうことはないですから。演技をする時に顔色を伺うのは最悪です。自分の仕事をきちんとこなすのが一番です。
― 共演者と呼吸を合わせるうえで、重要な部分はありますか?
ただ、自分のやるべきことを一生懸命やるだけです。相手が望んだり、コミュニケーションが必要なシーンではしっかり話します。でも、方法やコツのようなものは状況によって変わるので、あまり口を出すことはしません。そもそも演技って、先輩がアドバイスして教えるようなものではないんですよ。演技はとても個人的なもので、人それぞれ違いますから。ちょっとしたコツ程度なら伝えられるけれど、演技そのものを教えたり学んだりすることはできないと思います。
― 今回の役はスムーズに演じられたとおっしゃっていましたが、演じていて“戸惑い”や“怖さ”を感じる瞬間はありますか?
これまで演技しながら、怖いとか辛いと思ったことはなかったんです。でも、キャリアを重ねるにつれて、デビュー当時にはなかった恐怖を感じるようになりました。「もしうまくできなかったらどうしよう」という気持ちです。もう20年も演技をしてきたのに、もし上手くできなかったらどうしようと思うと、もっと頑張るしかないんです。正解のない世界だから余計に不安になるのかもしれません。もし正解があれば、努力すれば何とかなるじゃないですか。睡眠時間を削るとか、何度も台本を読み返すとか、努力の量で補える部分があると思うんです。でも演技は正解がないので、そこが恐ろしい部分ですね。
― そうした不安はどうやって克服しているんですか?
特別なことはしていません。怖いからできないとは思わないんです。怖いのは怖いけれど、やらなきゃいけないことはやる。僕はそういうタイプですね。
― 俳優として、演技するうえで大切にしていることはありますか?
意地悪にならないように努力しています。演技をしていると、自己中心的になったほうが有利な場面があるんです。でもそういうときも、意地悪な態度を取らず、自分の中で解決するようにしています。結局、作品づくりに良い影響を与えるわけではないですから。ありがたいことに、これまで一緒に仕事をしてきた人たちとは、大きなトラブルのない現場を続けてこられたと思います。
― 俳優として“達成感”を感じるのはどんなときですか?
あまり感じないほうです。もちろん、ケガをする人もなく無事に撮影を終えられたという達成感はあります。でも作品が終わっても、「終わったな、次の作品だな」くらいです。その作品がヒットするかどうかで一喜一憂もしません。うまくいけば、次の作品にいい影響があるというだけで、僕にとっては大きな問題じゃないんです。昔からそうでしたし、今はなおさら気にしません。
― でも、達成感って俳優を続けるモチベーションになることもありますよね。俳優を続ける原動力はどこにあるんでしょうか?
特別な原動力は必要ないと思っています。良くても悪くても、やれる機会があればただやるだけです。嬉しい、楽しいという問題ではないんです。僕にとっては使命なんですよ。俳優という職業を選んだから、ただやるんです。呼吸をするように、自然に。もちろん、作品ごとに一喜一憂する瞬間はありますけど、すぐに切り替えられます。この考え方が良いとは言いませんし、オススメもしませんが、僕はそうしています。作品に向き合って一生懸命やって、終わったら次へ進む。この先も続けていく仕事なので、一つの成功や失敗に大きな意味はないですね。
― では、職業としての使命感が一番の原動力なんですね。
一つの作品を終えるたびに、この役を演じ切った、自分の中に新しい何かが生まれたという感覚はあります。スキルが1つ増えたとか、能力値が1ポイント上がったような感覚かもしれません。作品を終えるたびに、必ず得られるものがある。何かを得て次につなげることが僕の目標でもあります。
“出世したいとか、主演男優賞を取りたいとか、そういう気持ちはないんです。
ただやっているだけで、どうせやるなら一生懸命やろうと思っているだけです。”
― 今回のドラマを通して、何を得ましたか?
いろいろ得たことはありますが、簡単に言うとこうです。やっぱり弁護士役がよく似合うなと。シーズン2もやろう!(笑)この作品は肩の力を抜いて取り組める作品だったので、気持ちよく撮影できました。だからといって、専門職の役をやりたいとは全く思いません。自分に合っていて、すんなり演じられたから楽だったんです。演技で悩む必要がなかった。激しい展開の作品を撮影する時よりは物足りないかもしれませんが、会社員になったような気分で、それが楽しかったです。
― 演技以外で、人生の原動力を挙げるとしたら?
あえて原動力を探したりはしません。ただ生きているだけです(笑)生まれたから生きる。生きるのに、必ずしも原動力が必要でしょうか?なくても十分にやれますよ。出世したいとか、主演男優賞を取りたいといった原動力はありません。ただやっているだけで、どうせやるなら一生懸命やろう、それだけです。多くの人がこういう生き方をできればいいなと思います。誰もがドラマチックな人生を送れるわけではありませんし、僕も職業は俳優ですが、人生がものすごくドラマチックなわけではありません。特別なものや原動力を無理に探して、それがなければ間違っていると思う必要もない。ただ淡々とやる。今日の格言として「ただやる」を挙げたいですね。
― 最後の質問です。かっこいい男性とはどんな人だと思いますか?
自分が何を望んでいるのかを正確に知っている人。そして、それを実際に体現して生きている人。家の広さや物質的なことよりも、自分の望む通りに生きることのほうが、ずっと大切です。
写真提供:Arena Homme+ Korea
出処:https://www.arenakorea.com/news/articleView.html?idxno=70394
https://www.arenakorea.com/news/articleView.html?idxno=70368